貴方の代りにビジネス書1000冊読む

ビジネス書のレビュー

「言葉にできる」は武器になる。

2冊目の紹介です。

 

「言葉にできる」は武器になる。

 

「言葉にできる」は武器になる。

梅田 悟司

日本経済新聞出版社

2016年8月25日 第一刷

 

 コピーライターの梅田 悟司さんが、どうやって心にささる言葉を生み出しているかを、具体的な方法論で説明しています。

 

言葉への評価は言葉づかいそのものではなく、その人の人格への評価である

 20p、『~意味が分かりにくかったり、相手の言葉に対して何も感じるころがなかった場合(中略)自分が相手をどのように評価していたか、である。

 おそらくその多くは「言葉づかいが下手だな」「もっと上手く言えばいいのに」といった言葉づかいそのものへの評価ではなく、「言いたいことが整理されていないな」(中略)といった相手の人格に対するものではなかっただろうか。』

 

 著者は先ず、この一文で言葉の重要性を説いています。「上手く言えない人って馬鹿っぽいっスよ?」と。

 

 ではどうすれば、相手に伝わる上手い言葉になるのでしょうか。

 

 著者は本のテーマともなる、「内なる言葉」を磨くことを上げています。つまり、頭の中で意識することなく発している言葉を意識的に捉え、磨いていく。

(今、これを読みながら「よくわかんねぇな」と思ったなら、それが内なる言葉です)

 

内なる言葉の使い方

  内なる言葉を意識的に捉える方法(解像度を上げる、と表現されています)を紹介した後、それを分析する方法を具体的に挙げています。「思考サイクル」による言葉の明確化です。

 書き出すことによる「アウトプット」と、それを深堀するために「拡張する」。

 寝かせ、逆転させ、別の視点から冷静に分析することで「科学反応」を起こす。

 この三つでささる言葉を作り出します。

 本書ではこれらの手法をさらに7つに分けて、丁寧に解説しています。

 

思考サイクルで正しく考えを深める -p.70

 まずは「書き出す」

 

 人は考えているようで、実際は同じことを思い出しているだけの「考えが全然進んでいない状態」になりがちです。

 

 ここから抜け出すには「内なる言葉」を外に出すことです。「人に話すと悩みが解消された」というのがこれです。

 

 人に話すというのは、考えを外に出し、自分と切り離している状態です。

 

 これを手っ取り早くするには、「内なる言葉」を書き出すことです。

 

 一つのテーマを決め、大量のA4用紙と太目のペンを用意して、思った事をとにかく書き出します。場所的に難しいなら、他の方法も本書では解説してあります。

 

 こうして全てを自分から切りはなす事で、頭を空の状態に持っていき、次のステップへと進む余裕を作ります。

 

 次に「拡張する」

 

 書き出した言葉に対して「なぜ?」「それで?」「本当に?」の三つを何度も深堀していきます。ここではそのための手法として「T字型思考法」が紹介されています。

 

 深堀した言葉をさらに「分類」することで重複やモレがない状況までもっていきます。

 

 最後が「化学反応」です。

 

 ここでは「寝かせる」事から始めます。意識に置いたまま頭を冷やすことで、日常生活の中でふと気づくようなセレンディピティ(計画的偶然、というのだそうです)を引き起こします。

 

 その後、真逆に考え、別の視点で精査することで「化学反応」を起こし、今までの自分では考え得なかった所まで言葉を作りこみます。

 

 

 後半はコピーライターとしての言葉の技法の解説になっています。別物として、こっちだけ繰り返し読んでも面白いです。

 

 

 コピーライターが書かれた本というのは無数にあるのですが、この本の後半部分のような「技法書」が多いです。

 

 その一部として「言葉に対して敏感になる」といった項目がちょろっとあるのですが、本書はむしろそこに注目しており、むしろそこが肝心なのだと意識することができます。

 

アウトプットへのモチベーションが高まる一冊

 ある本の著者さんに「いちばん安く済む勉強法って何ですか?」と質問したところ、

「アウトプットすることです」と答えられました。

 

 なるほど、とは思うものの、実際に動くことはありませんでした。

 

 この本を読んだ時、初めて重い腰が上がりました。読んでわかったつもりでいるのが、いちばんダサいなーと。

 

 「じゃあブログでまとめてみようか」と思い立ちました。ブログやSNSて自己顕示欲の塊みたいで嫌だったのですが、勉強になるなら、勉強自体が自己満足なんだし、いいかなと。

 

 で、このブログを始めた次第です。

 

「言葉にできる」は武器になる。

「言葉にできる」は武器になる。